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ED54の謎-日本とジャワの違いは? [機関区]

ED54.png
 基本的に2枚の歯車で事足りる吊り掛け式が普通であった時代に、ブフリ式
https://de.wikipedia.org/wiki/Buchli-Antrieb
という複雑な駆動方式(私は、未だにこのブフリ式の動作が理解できません!)を採用したBBCのED54は、それゆえに1926(大正15)年の使用開始当初にはきわめて良好な走行性能を示しますが、定期検査で分解、組み立てを繰り返すうちに徐々に走行性能が低下。それに伴って稼働率も低下して1930年代には休車がちになり、そして1948年には廃車されてしまいます。
 この機関車とよく比較されるのが、オランダ領東インド(今のインドネシア)の国営鉄道 (Electrische Staats Spoorwegen, ESS)の3000形。
https://de.wikipedia.org/wiki/ESS-Reihe_3000
https://id.wikipedia.org/wiki/Lokomotif_listrik_ESS_3000
 こちらの方が出力や重量は小さかったようですが、BBC+SLM製、軌間1067mm、架線電圧1500V、軸配置1A+B+A1のブフリ式駆動方式を採用した、基本的にED54と非常に良く似た機関車で、1924年に2両、1927年に2両が製造され、1976年まで問題なく使用されました。
http://www.internationalsteam.co.uk/java/java7301.htm
 日本で使いこなせなかったブフリ式を、ジャワで問題なく使用できた理由については、これまでもいろいろ取沙汰されてきました。
 例えばwikiの「国鉄ED54形電気機関車」の項
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%89%84ED54%E5%BD%A2%E9%9B%BB%E6%B0%97%E6%A9%9F%E9%96%A2%E8%BB%8A
では、一般論として、植民地時代に整備されたインフラを、独立以前から継承された技術ノウハウを墨守しながら使い続けるのはよくあること、と言った説明がされています。しかし、インドネシアに日本軍が進駐したのが1941年、そしてインドネシアがオランダから独立したのは1949年ですので、この説明は、少なくとも1941年までこの機関車を問題なく使用できていたことの説明にはなりません。
 また、この説明の背景には、宗主国であるオランダが技術指導していたので・・・といった白人崇拝的な考えも見え隠れします。ところがオランダは、とくに電気機関車については、残念ながらドイツ、フランスアメリカなどのような技術先進国ではありませんでしたので、この考えには納得できません。
 ここで理由として思い当たるのが、BBCの技術指導の有無。
 「電気機関車展望1」(久保敏、日高冬比古著、交友社刊)のEnglish Electricの項には、前回紹介した政治的な理由で、国鉄がEE製の電気機関車を多量に導入することが明らかとなった際に、BBCとGEの技師が抗議のために日本から引き揚げたことが書かれています。
 ブフリ式のような複雑な構造の機械製品は、例えば設計図を見ただけでは判らないような組み立て、調整、保守のノウハウがあるもので、BBCの技師がそれを国鉄の職工たちに伝える前に引き揚げてしまったとすれば、いくら組み立て説明書があっても、また交換部品や組み立て用の工具が揃っていたとしても、所期の性能を長く維持することはできなかったと想像されます。
 これに対しジャワのESSは、BBCとトラブルがあったとは聞きません。おそらく現地にBBCのオフィスが置かれ、現場の要請があればいつでも技師が駆けつけて指導できる態勢が整っていたものと思われます。
 また、もう一つの理由が、よく言われているように「日本には2両しかなかった」こと。上に記載しましたようにジャワも4両しかなかったため、両数の点でジャワにアドバンテージはなかったように思えるかもしれません。しかし輸入電機だけで59両、日立の3両を加えて62両の電気機関車が揃い、さらに電気機関車の国産化を進めていた日本の国鉄にとっての2両と、下のページ
http://keretapi.tripod.com/electricroster.html
http://searail.malayanrailways.com/PJKA/Electrische%20Staatsspoorwegen/ESS.htm
のリストにあるように3000形4両に、WHとBaldwinの部品を使ってオランダで組み立てられた3200形、ドイツAEG製の3100形、3300形、それにシーメンス製の蓄電池機関車4000形を合わせて全部で16両しかなかったうちの4両とではウェイトが違い、ジャワでは是が非でも良い状態を保持して使い続ける必要があったことは想像に難くありません。
 以上の理由から、日本の国鉄の技術がジャワより劣っていたとは言えないと考えています。

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コメント 6

まぢにゃん

なるほど、そう考えると合点がいきますね〜。
ブフリ式とかクイル式とかにそそられます。(笑)

by まぢにゃん (2017-03-06 06:56) 

hideta-o

hanamuraさま
横濱男さま
ネオ・アッキーさま
nice!ありがとうございます。
by hideta-o (2017-03-08 22:11) 

hideta-o

iruchanさま
ワンモアさま
nice!ありがとうございます。
by hideta-o (2017-03-08 22:12) 

hideta-o

まぢにゃんさま
クイル式ならこちらはいかがでしょう。
http://donsdepot.donrossgroup.net/dr0105/mil10302.jpg
ミルウォーキー鉄道のEP-3型。1918年から1919年にかけてWH+ボールドウィンで製造されたクイル式の機関車で、ニックネームは、そのものズバリ"quill"です。
by hideta-o (2017-03-08 22:22) 

hideta-o

Cedarさま
Schnitzerさま
nice!ありがとうございます。
by hideta-o (2017-03-19 22:39) 

hideta-o

まめうささま
nice!ありがとうございます。
by hideta-o (2017-03-25 11:07) 

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